2011年3月に発生した東日本大震災。マグニチュードが”1”違うと地震のエネルギーは約30倍違うと言われており、歴史に残る大地震の一つ阪神淡路大震災のマグニチュードが7.3に対し、東日本大震災のマグニチュードは9.0と言われおよそ1,000倍のエネルギーとなっています。もちろん阪神淡路大震災が比較的マシだったという話ではなく、そのエネルギーの大きさからどれほど被害が大きかったかが被災していない人でもお分かりかと思います。
この震災ではソーシャルメディアなどのインターネットを活用した安否確認や被災者支援が効果的に行われ、以降発生する大規模災害の際には必ずインターネットを活用した注意喚起や情報提供が行われるようになりました。
災害時の混乱はどこから来るか
実際に被災した場合そもそも隣近所が混乱状態になっていることがほとんどだと思いますが、インターネットに着目した場合の混乱とはSNS上での情報錯誤を意味します。
冒頭でも書いた通り、現在は防災意識の一つとしてインターネットが活用されており当然被災地の被害状況や避難所の状況について情報提供がSNSが常に行われています。その時必ず現れるのは全く関係のない写真が添付され「これが被災地の状況だ!」という情報。2016年に発生した熊本地震では動物園からライオンが逃げたというデマが発生し、よく調べたらそれは起きている災害とは関係のないものだとわかるのですがその情報は拡散に拡散を重ねてSNS上で混乱が波及しました。ちなみにその後発信者は偽計業務妨害で逮捕されています。
と、上記はフェイクニュースやデマの極一部でしかなく、災害発生時SNSやニュースサイトで情報収集しているともっと多くの誤情報を目にすることとなりその度に混乱が起こっていることがよくわかります。
SNSで助けられた命
#救助要請
災害の度にSNSで見かける#救助要請というハッシュタグ。消防などの電話が繋がりにくく、とにかく誰かに気づいてもらわなくてはという不安からくるSOSであり画像を添付したり住所を載せて救助を待つといったことが多く発生していました。実際これが直接救助に繋がったかといえば、行政側も混乱しており繋がっていない可能性がありますが、これにより防災に関してインターネットを利活用できる体制を整える重要性を上げたと言えます。
間接的な救助
#救助要請のハッシュタグが付いているツイートには多くのコメントが付きます。コメントには励ましの言葉や今すぐに役に立つ防災ライフハックがリアルタイムで送られており、少なからず発信者の安心や不安の解消に繋がっていたようです。
災害経験者が過去にアドバイスを投稿している
避難する際何を持っていくべきなのかわからずパニックになり、SNSで情報を得ることで何とかなったという話もあるようです。日本で利用率が高く開かれた環境であるTwitterはブログ等とは違い140文字という制限がある為、簡潔で必要な情報だけが詰まっており一度に受け取れる情報が多いです。短時間に必要な情報を得る上では受け取れる情報が多いことは最も重要なことだと思います。
災害時におけるインターネットの有効活用例
災害・防災に関する日常的な情報収集
減災する上で最も重要なのは普段から起こりうる状況に対してより多くの知識を得ておくことです。インターネットがあまり普及していなかった過去なら日常的な情報収集は困難だったかもしれませんが、現在はそうではありません。手を伸ばせば情報にあたる社会です。常にアンテナを張り巡らせておき、有用な情報は頭に入れておくかメモしておきましょう。
災害発生時の災害情報の収集・提供
災害が発生した後、災害の規模や被害状況はインターネットで知ることができます。冒頭でも書いた通りフェイクニュースやデマなども中に混じっていますが状況によったらSNSを見る方が早い可能性もあります。また、避難所の張り紙情報など物理的に出向かなければ見られなかったものも、インターネットの普及により発信してもらえるようにもなってきました。
救急・医療活動
総務省消防庁による”SNS等情報による緊急通報の活用可能性について(基本的な考え方)案”という資料によると、震度6弱以上の地震で電話等が不通となるものを想定した場合、前提や条件をクリアしていればSNS等の救助要請に関する情報を消防活動に活用する方針にあることがわかります。#救助要請が直接救助に繋がっていない可能性があると書きましたが、これから活用する体制を強化していくことでより迅速な救助活動が可能になるかもしれません。
ボランティアや支援物資のマッチング
大規模災害が落ち着いた後復旧に時間を要しますが、インターネット等でボランティアや支援物資の情報が出回ることにより必要な場所に必要なだけボランティア及び物資が行き渡ることが想定されます。実際に、平成30年7月豪雨では大規模水害が起こりその後復旧作業をする為にSNSでボランティアを募集しているところも多くみられました。
コミュニケーション
災害はいつまた襲ってくるかわかりません。余震が怖いや津波が来るというのは経験から来る憶測でしかなく、その憶測が立ったところで不安は拭えません。各所に点在する被災者同士がSNSで交流することでお互いにもう少し頑張ろうと思えるのです。
まとめ
行政が発表している内容を見ても、防災とネットの繋がりはより強固なものとなっています。もちろんこれはインターネットを利用しなければ救えないということではなく、より迅速にかつ効果的に救助活動を行おうとする方針だからだと思います。
それに倣い、行政の補助を受ける私たちもネットを活用して身を守る行動を取りましょう。